英語 長文読解3 前置詞

英語の長文を読めるようにしよう!という趣旨で話を進めております。

前回、

B. Dusk was falling as the boy arrived with his herd at abandoned church.

なる文の主節(メインの部分)の解釈をしました。
大切なことは二つあり、まず、接続詞(この文では as)は後ろの節(主語S、動詞Vを含むまとまり)にくっついて意味を添える、ということ。
そしてその接続詞以下の節は従属節というのですが、その名の通り、あくまでおまけである、ということ。

as はいろいろな意味で使いますが、この文では ~のとき として使っていると考えていいでしょう。
それで、B. の文は

~のとき、Dusk = falling だった。(~のとき、夕暮れは落ちている状態だった、もう一歩進めて、~のとき、太陽が沈もうとしていた。など)

と解釈できたわけです。

そして今回は、~のとき、に残された ~ の部分・つまり

the boy arrived with his herd at abandoned church.

を読んでいきたいと思います。

まず、Vはどれか?
英文読解はいつでもこの V = 動詞の探索から始まると、ぜひ心に刻み付けてください。
これまでの原則を踏まえると、arrived と abandaoned の二つが候補と言えそうです。
それぞれ、~ed で終わっているので、動詞の過去形の可能性があり、実際に過去形になっているのであればそれはVだから。
こんな風に判断するのでした。
しかし、原則として、一つの文に V は一つ なのです。※and とかがあれば別※
ではどちらがVなのか?

ここで今回のメインテーマ、前置詞の話をさせていただきましょう。
前置詞というのは、in, on, to, for, at, with, of, などの単語です。
単独では使いません。その辺、日本語で言う助詞に似ています。
「にんじんをあげる」の中の「を」みたいなやつ。
日本語の助詞は前の単語とくっついてなんらかの意味を持たせますよね。
「にんじんをあげる」においては、「あげる」という動作で渡すことになるもの ということを表現できます。
「あげる」で渡すことになる相手 を表現したければ、「に」を使って、「彼ににんじんをあげる」などと言えばいい。
おおむね、英語でこの助詞にあたるものが、前置詞です。
ただし、前置、というくらいなので、意味を添えたい単語の前に置くのです。そこが助詞とは決定的に違いますね。

また、前置詞の後ろに来るのは原則として名詞です。
そして、前置詞+名詞のまとまりは修飾語となり、文の中心的な要素(先走って言うと S, V, O, C のどれか)にはなりません。

修飾語というのは、別の言葉を詳しくしている言葉のことです。
「庭にいる彼においしいにんじんをすばやくあげる」という文があったら、「庭にいる」は「彼」を、「おいしい」は「にんじん」を、「すばやく」は「あげる」を修飾しています。
そして、技術として大事なことですが、文の大意を捉える上では、これらの修飾語はなくてもいいのです。
つまり、修飾語を無視して「彼ににんじんをあげる」だけで最低限の情報が伝えられるわけです。
これは英語でも同じことで、文の大意を捉えたいなら、修飾語は無視していい。

以上をまとめます。

Pre1. 前置詞は後ろの名詞とまとまって、名詞に意味を添える

Pre2. 前置詞で始まるまとまりは修飾語、おおまかに文を捉えたいときは無視

さて、B. の文には with, と at, 二つの前置詞があります。
これらの前置詞の後ろには名詞が来るはずなのですが、with の後ろは his(彼の)、at の後ろは abandoned (動詞?)と、名詞っぽくないですね。
詳しいことはまたの機会に回しますが、これらはもう少し後ろにある、目標の名詞を修飾している単語です。
「庭にいる彼」でいう「庭にいる」の部分。実際上、名詞を単独で使うよりも多少は修飾したくなってしまいますから、前置詞の後ろに来るものは「名詞と、その名詞を修飾している単語のまとまり」と思っていた方がいいです。
こんな風に「ある単語と、それを修飾している単語のまとまり」のことは「句」と呼びます。
句の中で修飾されている側の中心的な単語の品詞に応じて、名詞句とか動詞句とか言ったりもします。

with, at の後ろの部分には、それぞれ herd, church という単語があり、これらが名詞です。
結果として、with は his herd とくっついて「his herd と(同伴)」at は abandoned church 「abandoned church で(場所)」といった内容で文を修飾しています。

ある前置詞の後ろの名詞句がどこまでか、ということは一見難しいかもしれませんが、大抵、別の前置詞が出てきたらその前まで、と判断して大丈夫です。
勉強を続けて行けば、どれが名詞か、という判断もすぐできるようになるでしょう。

ここまでで、今回一番お伝えしたかった前置詞に関する話題はひと段落です。
文の解釈に戻りまして、前置詞で始まる部分は無視していいわけですから、考えるべき部分はもはや

the boy arrived

しかなく、これはもう安心して arrived が V と考えて大丈夫です。
V の前が S(主語)なので the boy が S。
この文のように、V の後ろに前置詞がくるときの文型は SV です。
意味は「S が V する」。非常に単純な文型です。

従って、B. の文の 接続詞 as から始まる従属節、その大意は「the boy が arrive した」 ここで、arrived は過去形なので arrive した とさせていただきました。
以上、まとめますと

B.大意 the boy が (his herd と)(abandoned church で) arrive した。

前置詞のフレーズは修飾語で、日本語的にはどこに入れても構わないのでカッコに入れてみました。
ここで一つ重大なことを認識してもらえたらと思います。
それは、今まだ日本語にせず残している英単語たち、これらの意味を知らなくても、文の大意はまあまあわかる、ということ。
どういうことかわかりやすくするために、英単語の部分を適当なカタカナで置き換えてみましょう。

ズズン が (ポレル と)(スーリンテン で) コクケンピ した。

コクケンピする というのがどうもよくわからないけど、この文ではズズンとポレルという、おそらく人(あるいはそういう名前の動物とかキャラクター)が、スーリンテンという場所(地名か建物名か店名かは知らないけど)で何かをしたんだな、ということはわかるはずです。

英文を読むためには、この大まかな構造を捉えられるようにすることが非常に重要です。
単語がわからないからまず調べて・・・また知らない単語があるから調べて・・・とやる前に、上に書いた大まかな構造を捉える。
そうすれば、どの単語の重要度が高いか、きちんと調べたり、考えたりするべきところはどこか、判断できます。
手当たり次第に調べないといけない状況よりは大分気分が楽になることでしょう。

B.大意 の中で重要度が高いのがどれかと言えば当然ですが S と V のboy, arrive です。
どちらも基本的な単語で、boy は 少年、arrive は 到着する。 それと文法的なことですが、arrive と at の組み合わせのとき、at~ は到着する目的地を示しており、日本語にするときは ~に到着する とした方が自然です。
B.SV訳 その少年が (his herd と)(abandoned church に) 到着した。

このレベルまでで、もういいや、次の文に行こう、と思えるときもあるでしょう。
とはいえ、残る単語の意味も確認しておきますね。
his は 彼の herd は 群れ。少年、実は羊飼いで後にきちんと羊という単語も出てきてそのことが分かるのですが、羊の群れです。
abandoned は 見捨てられた という形容詞。abandon 見捨てる という動詞が変化したものです。過去形と同じ形ですが、過去分詞と呼ばれるもの。
この分詞については次の機会に詳しく解説したいと思っています。
church は 教会。

これでB.も終わりです。

B. その少年が 彼の群れと 見捨てられた教会に 到着した。

さて、今回の中心的な話題の前置詞、上で取り上げた2点は英語を読むときにかなり重大なポイントです。再掲しますと

Pre1. 前置詞は後ろの名詞とまとまって、名詞に意味を添える

Pre2. 前置詞で始まるまとまりは修飾語、おおまかに文を捉えたいときは無視

とくに2番ですね。長い英文にであったとき、まず切り捨てて後回しにしていい部分がわかるってことです。
ぜひご活用ください!