英語 長文読解1 動詞

さて、英語の長文を読んでいくぞ、という話です。

まず、英文ってどんなものか、ということを確認しますね。

A. The boy’s name was Santiago.

例文は Paulo Coelho(パウロ・コエーリョ) 作 The Alchemist(アルケミスト) から。
もともとはポルトガル語かと思いますが、その英訳版です。

まず、大文字(The の T)で始まっていますね。そして終わりには ”.” period(ピリオド)が付いています。
この2点は英文の大原則。
もう一つ、文中の Santiago という単語が大文字で始まっています。
これは、人や建物の名前、地名などのいわゆる固有名詞、ある特定の存在にしか使われない名詞だからです。

ここまででとりあえず3つの重要事項がでてきました。

1.英文は大文字で始まる。
2.英文は “.” で終わる。
3.固有名詞は大文字で始める。

この3点は英文を書くときにいつでも気を付けたいことで、実際、多くの中学生が英語のテストで減点されてしまうところです。

さて、このA.の文はいったいどのような意味なのでしょう?
それをおおまかに捉えるためにもっとも重要なのが

4.Vを見つける

という作業です。
Vは動詞のこと。
英文には中心となる動詞がある、という原則がありまして、それを踏まえて、まずその文のV(中心となる動詞)を見つけるのがよい、ということです。
※ちなみに、V は verb(動詞)の頭文字なのですが「単語の分類としての動詞」という気持ちを伝えたいときは小文字で v. と書くことにします※

A.の文のVは was です。
いわゆる be動詞 の過去形。
他にどんなbe動詞があるか、ということはきちんと覚えなくてはなりません。
その辺のことは後程まとめることにして、先に意味の説明をしますね。
be動詞のもっとも基本的な意味は「=」だと思っていただくのがいいでしょう。
過去形なので「当時 = だった」という感じになります。

つまり、A.の意味は

当時 The boy’s name = Santiago だった。

てな具合に捉えることができます。
※be動詞は「=」だ、とは言っても、数学的な = とは違って、左辺と右辺を入れかえたりはしません。
最近の中学校の教科書では be動詞の意味として「これを説明すると」と書いてあります。
この解釈の方が左右を入れかえると違う意味なりますので、数学との違いもはっきりしていいですね。
でも長いので、以下では主に「=」を使っていこうと思います※

※be動詞にはもう一つ「いる・ある(存在する)」という意味もあります。
どちらの意味で使っているかは大体見た目で判断してよく、先走って言えばbe動詞の後ろに前置詞が来たときはこっちの「いる・ある」だと思っていいです※

ここでbe動詞についてまとめておきます。
主語と時制によって形が変わるので、表にしますね。
主語 現在形 過去形
I am was
we, you, they, その他複数名詞 are were
he, she, it, その他単数名詞 is was
現時点では、表の右2列にある am, are, is, was, were がbe動詞なんだ、と覚えることが最優先です。
こいつらを見たら、文のVであって、とりあえず「=」だ、と思ってください。
英作文をするぞ!とか、中学生でこれからしっかり英語やらなきゃ!という場合、主語との対応もきちんと覚えたらいいでしょう。
読解中心であればbe動詞だ、とわかれば十分。

余力があれば、一番下の段の主語、he, she, it, その他単数名詞 たちがいわゆる「三人称単数」だ、ということを覚えるのも将来的に役立ちます。
ここからしばらくやや詳しく難しい内容になりますので、無理に全てを理解しようとしなくてもいいと思います。

Vを見つけるとは言いますが、なにかVを発見するための手がかりはあるのでしょうか?
もちろん、ある単語がそもそも動詞v.だ、と知っている、というのが一番いいです。
それ以外のVの目安をいくつか挙げましょう。

まず、(ほぼ)確定のもの。

V1.be動詞の現在形、過去形はV。
V2.一般動詞で三単現の s がついた形はV。

なぜこれらがV確定かというと、なんというか、どちらかというと逆で、英文では「Vのときは主語と時制に合わせた形に変化する」というルールがある、あるいはそういう文法だからです。
つまり「Vだから変化する」という事実から、逆に「この変化をしているならVでなくてはならない」と決められる、ということ。

ただし、V2.の三単現の s については少し注意するところがあります。
それは、s は名詞にも付く、ということ。
複数形、というやつですね。
book は本ですが、英語では1冊なら a book 、2冊以上なら books 、という形にします。
そして、この book という単語、実は「予約する」という動詞v.としての意味もあるんです。
だから、books については三単現の動詞か、名詞の複数形か、見た目だけでは判断できません。
こういった事情が、先ほど(ほぼ)確定、と言った理由です。

次の目安。

V3.一般動詞の過去形はV。

これがVと判断していい理由は、be動詞、三単現の場合と同じです。
英語の文法では、過去のことを表すためには Vを過去形にする というルールを採用しているのです。
だから、過去形である以上、それはどうしてもVなのです。

ところが、過去形については落とし穴が多く、いわゆる規則動詞の場合、過去形と過去分詞が同じ形ですし、不規則動詞であってもそういう単語があります。
つまり、見た感じ過去形(~ed)でも、実は過去分詞なのでVではない、ということが起こり得ます。

もう一つ、おまけの詳しいお話として、三人称単数についても触れておきます。
まず、I, you, they などの単語たち。これらは日本語で言えば 私、あなた、彼ら などの意味なのですが、これだけでは個人を特定できる言い方ではないですよね。
文章や会話の中で使われたら誰のことを言っているかはわかりますけど。
こういう単語は、名詞の中でも特に代名詞と呼ばれます。具体的な名詞の代わりに使うもの、ということでしょう。
そして特に 私、あなた、などは(犬や橋ではなく)人を指すわけで、英語のI, you, they などは人称代名詞と呼ぶのです。

さて、人を称する代名詞、これをさらに区分したい、と思った誰かが、会話をするときの立場に注目しました。
いわく、話をしている本人(I, we, = 私、私たち)を一人称、話し相手(you = あなた、あなたたち)を二人称、話している当事者以外の人(he, she, they = 彼、彼女、彼(女)たち)を三人称、とします。
また、話している当事者以外であれば、代名詞でなくても人でなくても、三人称と言ってしまいます。
従って、it, this, that, a dog, a bridge, birds, なども三人称です。
この三人称のうち、単数であるもの he, she, it, this, that, a dog, a bridge などなどが三人称単数ということになります。
一般動詞では、三人称単数が主語で現在形のときのみ、語尾に-s がつくという変化をします。
このことを三単現(三人称単数現在)の s と呼んでいます。
ひとまず詳しくて難しいのはここまでにします。

もとの英文

A. The boy’s name was Santiago.

の解釈を終わらせてしまいましょう。
‘s の部分ですが、~’s という書き方で、「~の」という所有の意味を表します。
つまり、A.の文は

A. The boy の name = Santiago だった。

であり、boy は 少年、name は 名前 なので、最終的に

A. 少年の名前は Santiago だった。

となります。the についてはまた別の機会に説明できればと思います。

最後に今回の大事なところをまとめます。

1.英文は大文字で始まる。
2.英文は “.” で終わる。
3.固有名詞は大文字で始める。
4.Vを見つける
V1.be動詞の現在形、過去形はV。
V2.一般動詞で三単現の s がついた形はV。
V3.一般動詞の過去形はV。

今回はここまで!ありがとうございました。
気が向きましたら次回もよろしくお願いします。