何のための勉強か

永遠の問題ですね、我々のような教育関係業界にとって。

高校を卒業した後だと、もう明確に勉強の目的がある場合が多いですよね。大学で専門的に勉強したい、専門学校で付きたい仕事のための知識・技術を身に付けたい。働いている方でも、仕事上で必要なことを勉強することもあるでしょう。

こういう方々にとってはそもそも明確な目的があって勉強しているわけで、何のために勉強しているのか?なんて疑問は出てきにくいはずです。

問題になるのは、小学生から高校生まで。
高校生に向けては、受験勉強を乗りこえて義務教育ではない学校へ進学したんだから、黙って勉強しろ、とも言いたくなりますけど。
私自身、高校の時に「もう社会科関係の勉強はしなくていいかな」と勝手に決めてしまってました。大学受験を考えると、数学・理科・英語・国語の順にたくさん勉強しないといけなかった。でも、もちろん社会の授業はありました。日本史です。まったく覚える気がなかったので、正直時間の無駄、と感じていました。

かつての私と同じような生徒、多いでしょうね。
多いどころか、大半がそうかも。
高校生なら大学受験で使わない科目。小・中学生はとりあえず全科目に対して、こんなことを勉強して何になるの、と思っています。あ、全科目、と言ったものの、国語に対してはあまり不満を聞いたことはないかも。日本に住んでいますから、日本語を勉強した恩恵を日常生活でも感じるんでしょうね。
国語はとりあえずおいておくとして、教育関係者はやはりこの勉強への疑問、あるいは不満にはきちんと向き合わざるをえないでしょう。
目的が見えない勉強はやはり辛いですから、いくら大事なポイントを絞って説明したところで、覚える気にはなかなかならず、テストでも点が取れず・・・
そしてこの情報化社会。勉強しなくてもよさそうな理由はインターネットで検索すればいくらでも出てきます。
ロボットのおかげで人間の仕事がなくなるから勉強はいらない、とか、翻訳機が高性能になっているから外国語を勉強する必要はない、とか。

この辺に対抗して、勉強すべき理由を伝えるわけですね。
とりあえず定番として聞くことは「ロボットや翻訳機を作っているのは誰だい?」

これだけで小学生でも「ああ、そういうモノを作る人は確かにいろいろ知らなきゃダメかもな」くらいの想像は付くわけです。
実際、ロボットを設計するのに理科と数学の知識が必要なことは簡単に想像できます。適当に勘で部品を組み合わせているわけではないですからね。ディープラーニングによる翻訳学習にしても、もとの対訳を準備するには人間の翻訳家が必要になります。

社会は数学・理科・外国語に比べると直接的な必要性を感じにくいです。私としては今のところ、広い意味で人間関係を調節するため学ぶのだと考えています。これについて語ると長くなるので、ここでは割愛させていただきます。

以上のようなことを話すと「ふうん、まあ勉強した方がよさそうかもね」ぐらいに思う人もいます。 ところが相手はできれば勉強したくない小中学生ですから。次は「でも、私はそんな仕事には就きませーん」「でも、僕はサッカーで生きていきます!」なんて言ってきますよ。

これに対して、こちらも最後の説得です。
「あなたがやるかやらないか、やりたいかやりたくないか、ではないんだ。やらなくてはならなくなったとき、できるかどうか。皆ができないのに、あなたまでできなかったらもう全滅するんだよ。」

これで議論が終わるわけではありませんが、基本的にはここまでで話は終わりにしています。
だって、方程式の文章題、解いてもらわなきゃいけないですからね!